オープンハウスグループがサポートする、Podcast番組『磯山さやかのラジエール〜みんなのやる気を応援したい〜』(ニッポン放送)。MC磯山さやかさんが毎回、夢に向かって頑張るZ世代ゲストを迎え、「応援」や「挑戦」にまつわるストーリーをお聞きしています。本記事では、番組内では聞ききれなかったアナザーストーリーをご紹介! 第6回のゲストは、デビュー作『かか』で最年少で三島由紀夫賞を受賞、2作目『推し、燃ゆ』では史上3番目の若さで芥川龍之介賞を受賞した作家の宇佐見りんさんです。
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磯山 さやか
1983年茨城県生まれ。2000年グラビアアイドルとしてデビュー。現在、バラエティやラジオ、ドラマ、映画などマルチに活躍。ニッポン放送「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」、フジテレビONE「プロ野球ニュース」などのレギュラーを持つ。6年ぶり最新写真集「and more」(講談社)が好評発売中。
1983年茨城県生まれ。2000年グラビアアイドルとしてデビュー。現在、バラエティやラジオ、ドラマ、映画などマルチに活躍。ニッポン放送「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」、フジテレビONE「プロ野球ニュース」などのレギュラーを持つ。6年ぶり最新写真集「and more」(講談社)が好評発売中。
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宇佐見 りん
1999年生まれ。2019年『かか』で第56回文藝賞を受賞しデビュー。同作は史上最年少で第33回三島由紀夫賞を受賞。第二作『推し、燃ゆ』は第164回芥川賞、第7回沖縄書店大賞を受賞し、2021年本屋大賞にノミネートされたほか、世界15か国/地域で翻訳が決定、単行本累計60万部を超えるベストセラーとなった。
1999年生まれ。2019年『かか』で第56回文藝賞を受賞しデビュー。同作は史上最年少で第33回三島由紀夫賞を受賞。第二作『推し、燃ゆ』は第164回芥川賞、第7回沖縄書店大賞を受賞し、2021年本屋大賞にノミネートされたほか、世界15か国/地域で翻訳が決定、単行本累計60万部を超えるベストセラーとなった。
書きたいものと書けるもののギャップがある時期は苦しかった
―収録おつかれさまでした! 宇佐見さんは久々のラジオ出演とのことでしたが、いかがでしたか?
宇佐見さん:めっちゃ緊張しました……。でも、磯山さんが笑ってくださるからすごく喋りやすかったです。エッセイだと自分で書きたいことを書くので、エッセイとはまた違った自分の新鮮なところを磯山さんに引き出していただきました。
磯山さん:良かった〜! 緊張も含めてすべて出してくれて良かったです。しっかりしているところもありつつ、普通の25歳で、色んな経験をしながら楽しんでお仕事をされていて……。そんな等身大の宇佐見さんについて話してくれたからほっこりしました。
―宇佐見さんは大学生の時にデビュー作『かか』を執筆されていましたが、執筆活動と学業の両立は大変ではありませんでしたか?
宇佐見さん:両立は全然できてなかったです。執筆に追われていると「今日、課題の期限だった!」みたいな(笑)。私は器用な方ではないので、何とかしのいできたという感じですね。でも、文学部だったので講義を受けながらさまざまな文学作品や歴史に触れることがあり、「これを題材にしよう!」とアイデアが生まれることもありました。両立は難しかったけど大学は面白かったです。
―作家として最初の壁にぶつかったのも『かか』を執筆していた時だそうですね。
宇佐見さん:そうですね。デビュー作なので時間もかかりましたし、自分の作品や自分の文章を知れば知るほど自分に課すハードルが上がって、「こう書いたほうがいいんだよな」みたいな目もだんだん肥えてきて。甘く捉えたまま書き進めたとしても、その原稿はあとで全部捨てることになってしまいます。自分の目と実力のギャップ、つまり、書きたいものと書けるもののギャップがある時はやっぱり苦しかったですし、いつも苦しむ点はそこかなと感じます。
「前の作品を超えなきゃ!」という意識が、今までと違う表現を模索する原動力
―収録の中で「磁場」というワードを使っていたのが印象的でした。自分を強く引き寄せる磁場は宇佐見さんが小説を書く動機につながるのでしょうか?
宇佐見さん:その題材と向き合わなければならないという切迫感のようなものを、私は“磁場”と呼んでいます。この磁場はたぶん誰しもが自分の内側に持っているものですが、私の場合は小説を書くことで磁場と向き合ってきたような気がします。以前大好きな作家の村上龍さんが「小説家は最後にやる職業だ」っておっしゃっていて。他の職業をいろいろ経験した後に小説家になる人もいますし、小説って回り道しても待っていてくれるんです。いろいろと経験して強い磁場を見つけたタイミングで小説家としてデビューする方が多いのかもと思っています。私は運が良くてそれが早かったんだと思います。
―これまでの作品の中では、特に家族の形などを通して人間の葛藤や生きづらさを描かれていますが、そうしたテーマに惹かれる理由があるのでしょうか?
宇佐見さん:そうですね、個人的に熱量を持って入り込める題材が家族対家族という人間関係だったということが大きいです。家族には「色んな側面を長いこと見ている他者」みたいなイメージがあって。良い面と悪い面、両方見てもなお愛情を持てる相手が私にとっては家族でした。もちろん、私の家族そのままを書いているわけではないので、性格や属性も全く違います。しかし、例えば主人公対友達や、対職場の人、対恋人、の関係よりも主人公対家族の関係の方が、私自身家族が大切な分熱が入りやすいんですね。
―執筆を進める中で、行き詰まった時や、自分が低空飛行しているなと感じる時は、どうやって乗り越えていますか?
宇佐見さん:そういう時は、取材に出かけるとか本を読むとか、地道なことをひたすらやってます。あとは、書いているうちにどうにかなったり、締め切りがあるからどうにかなったりすることもありますし、とにかく基本に立ち返って、「本当にこの人称で良いのか」「本当にこの文体で良いのか」みたいなことをすごく考えます。特に文体についてはしっくりくるものを探り当てるまでは何をやってもダメで。書いていた内容は変えずに人称と文体を変えて書くだけでも全然違うんです。文体と内容が一致して初めて物語が進み出しますね。
―できることをコツコツこなして乗り越えるんですね。磯山さんは低空飛行の時期をどう乗り越えていますか?
磯山さん:ずっと低空飛行なわけはないから、あんまりそこにとらわれないようにしています。考えようと思ったらいつまでも考えられちゃうし、私も宇佐見さんと同じ年齢の頃はそれに引っ張られてしまって悩んでいました。でも、30代、40代と歳を重ねてみて、低空飛行をどう捉えるかって気の持ちようだなって思えるようになって。できることを淡々とやるしかないし、自分で思っているだけで他人からみたら全然低空飛行じゃないこともある。だから、そこまで考えすぎないほうがいいなって思います。でも、自分が低空飛行しているって感じることも成長のためにはすごく大事だと思うから、悲観的になりすぎず、ポジティブになりすぎず、っていうバランスが大切ですよね。
宇佐見さん:なるほど……! 私は思い詰めてしまうことが多いので、磯山さんの今のお話を聞いて心に爽やかな風が吹いた気がします。私もいつかそういう捉え方ができるようになりたいです。
―宇佐見さんはこれまでに数々の賞を受賞されていますが、プレッシャーを感じることはありますか?
宇佐見さん:私は全くないんですよ。受賞の知らせって作品を書き上げてから半年くらい経ってから来るので、タイムラグがあるんです。その時にはもう次回作に取り掛かっていて、書いた直後とは違って落ち着いた心持ちでいるので、プレッシャーはあまり感じないかもしれません。
―そこはフラットな気持ちで捉えているんですね。宇佐見さんが小説を書く上で、一番挑戦だと感じることはなんですか?
宇佐見:「前の作品を超えなきゃ!」ということですね。売り上げはどうなるかわからないですし、私自身売れるものが良いものとも思っていないのですが、面白さだけは嘘をつけないし更新していかないといけないと思っていて。「前に書いたものとは違うものを見せたい」「もっと面白くしたい」ってことは常に考えていて、プレッシャーになることもあります。だから、先ほどもお話しした文体を変えるとか、今までとは違う表現を模索するということが一番の挑戦であり、一番苦労するところです。
誰かを応援することは、心の潤いになる
―宇佐見さんの作品を読んでいる方には、若い方だけでなくさまざまな年代の読者がいますが、印象に残っている感想や応援の言葉はありますか?
宇佐見さん:あります。そもそも反応があるというだけでうれしいんですけど、以前、70代か80代くらいの方からお手紙をいただいたんです。すごく達筆な字で、ハガキいっぱいに丁寧な言葉遣いでびっしり感想が書いてあって。「こんなに歳の離れた方が、若い子を主人公に描いた本を読んでくれたんだ、届いたんだ!」と思いました。いただく言葉そのものもやる気につながりますし、さまざまな年代や性別、全然違った人生を歩んでこられた読者の存在を目の当たりにすることで、本当にうれしくなりますね。
磯山さん:私も似たようなお便りをもらったことがあるので、宇佐見さんの気持ち、すごくわかります。ご年配の方に「元気をもらいます」と丁寧に褒めていただいたり、男性ファンが多い中で女性から共感してもらえたり、そういう声をもらえるのはすごくうれしいですね。20年以上一緒に年を重ねてきた昔からのファンの皆さんも、いまだにイベントに来てくださるんですよ。長年のファンの方々も含め、支えてくれているファンの声も聞くと「この仕事を続けてきて良かったな」って活力になります。
宇佐見:20年来のファンってすごいですね!想像もつかないです。 私はあまり講演会をやってこなかったので、読者の方と直接お会いする機会が殆どなくて。でも、磯山さんの20年間ずっといらっしゃるファンの方の話を聞くと、いいなあ、すごいなあって思います。そのファンの方も磯山さんにずっと励まされてきたんでしょうね。
磯山さん:私もファンの方に励ましてもらっているし、お互いさまですね。直接会わなくとも、宇佐見さんの小説やエッセイに救われた方もたくさんいらっしゃると思いますよ。
―『推し、燃ゆ』では主人公・あかりが熱狂的にアイドルを推している姿が描かれますが、誰かを応援することにはどんな意味があると思いますか?
宇佐見さん:推し活に関しては、明るい面も暗い面もあるなと思っています。『推し、燃ゆ』の主人公・あかりちゃんは生活することが本当に苦手だから、アイドルに元気をもらい、のめり込むことで生活していた。推し活が人生そのものみたいになってしまう人は、どこかで満たされていないとか、原因が他のところにあるかもしれない。落ち着いたら、自分自身のそのことに向き合える時がくるといいですよね。
でももちろん、誰かを応援することは、心の潤いになりますよね! 私自身にも推しがいて、あかりちゃんのように熱狂的な感じではないですが、毎日ほどよく元気をもらっています。読んでくださった方からはあかりちゃんのようにすべてかけて推していると思われがちなのですが、私の場合、パフォーマンス以外の部分はあえて見ず、作品を見たり舞台を観にいったりして「ありがとう!」っていう感じで日々活力をいただいてます。
文学を含め体力が第一、身体を大切にすることも挑戦の一部
―今日お話ししてみて、磯山さんは宇佐見さんのどんな題材の作品を読んでみたいと思いましたか?
磯山さん:何だろう……。国際結婚とか! 宇佐見さんなら文化の違いをいろんな視点から書いてくれると思うんですよね。何となく幸せそうとか大変そうというところを深掘りして、カップル一人一人の視点を丁寧に書いてくれそう。それに救われる人がいっぱいいるんじゃないかなと思います。その子どもはどうなのか、実家の人たちはどうなのか……家族の葛藤なども含めて読んでみたいなって思います。
宇佐見さん:面白いですね! 国際結婚、自分では絶対思いつかないテーマです。国をまたいだ関係はこれからの時代どんどん増えていくのではないかと思いますし、多くの方から必要とされるテーマかもしれませんね。日本に住む外国ルーツの方々も、私が小学生だった頃には想像もできなかったほど、ものすごく沢山いらっしゃいますし。
―最後に、挑戦しながらもがいている人へのメッセージをお願いします。
宇佐見さん:最近体力がないと何もできないなって思い始めていて(笑)。一度身体壊しちゃうと戻って来られないこともあると思うので、目標を達成することも大事だけど、自分を大切に一緒に頑張れたらって思います。
磯山さん:本当にそうですね。健康第一です!
誰かの「かなえたい」を応援したい。
がんばる皆さんの想いに寄り添うサポート活動、
それがO-EN HOUSE PROJECTです。
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