2025年12月7日に群馬県太田市で開催された「第14回上毛新聞社杯ダンスコンテスト」。会場となったオープンハウスアリーナ太田のネーミングライツスポンサーでもあるオープンハウスグループは、「挑戦する次世代を応援したい」という思いから、このコンテストに協賛しています。
今大会において、部活部門で優勝し連覇記録を10に伸ばしたのは、安中総合学園高等学校(以下、安中総合学園高校)ダンス部の選抜チーム「15代目 TOP ROBBERS」。同校は、全国大会での優勝実績もある群馬県屈指の強豪校です。本記事では、当日の15代目 TOP ROBBERSの挑戦する姿をレポートするとともに、安中総合学園高校ダンス部顧問であり、大会実行委員長も務める青木一由先生にインタビュー。高い目標に挑戦することが、次世代の若者をいかに成長させるのか。熱い思いを聞きました。
(2025年12月に取材)
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青木 一由
安中総合学園高校ダンス部顧問、群馬県高校ストリートダンス部協会委員長。初任校でダンス部の顧問になって以来、20年以上高校ダンス部の指導を担当。安中総合学園高校では、ダンス部の創設から関わり、高校ダンス部日本一へと導いた。上毛新聞社杯ダンスコンテストの立ち上げから参画。現在は実行委員長として、企画運営、舞台監督、審査員のブッキングなど多方面から大会を支える。
安中総合学園高校ダンス部顧問、群馬県高校ストリートダンス部協会委員長。初任校でダンス部の顧問になって以来、20年以上高校ダンス部の指導を担当。安中総合学園高校では、ダンス部の創設から関わり、高校ダンス部日本一へと導いた。上毛新聞社杯ダンスコンテストの立ち上げから参画。現在は実行委員長として、企画運営、舞台監督、審査員のブッキングなど多方面から大会を支える。
「勝ちたい」という強い思いから生まれた、唯一無二のパフォーマンス
12月7日に開催された「第14回上毛新聞社杯ダンスコンテスト」。歴史を重ねるごとに開催規模を拡大し、今年は群馬県内の高校ダンス部・同好会による「部活部門」に27チーム、ダンス教室やスタジオ所属のチームによる「一般部門」に27チームが集結しました。プロ仕様の音響や照明を備えるオープンハウアリーナで、熱いパフォーマンスが繰り広げられました。


部活部門で10連覇の期待がかかる15代目 TOP ROBBERSは、安中総合学園高校ダンス部の中でも、トップレベルのスキルを持つ9名によるチーム。今回は、映画『男はつらいよ』をモチーフにしたパフォーマンスを披露するということで、チーム全員が、映画の主人公“寅さん”に変身。本番前の練習からユニークな衣装に身を包んでいたことからも、意気込みの強さが伝わります。


「いろいろな大会に出場してきましたが、上毛新聞社杯は歴代の先輩方が優勝を引き継いできた特別な大会です。自分たちらしいダンスを披露して絶対に優勝したいです」と語るのは、チームを率いるキャプテンの酒井つかささん。先輩たちが築き上げてきた「優勝」のバトンをつなぐべく、厳しい練習を重ねてきた彼ら。必ず勝ちにいきたいという強い想いがひしひしと伝わってきました。

本番では少し緊張の色を見せながらも、息の合ったダンスと、コミカルな演出や表情で観客を魅了。個性的でありながら洗練されたスキルも見せつける、圧巻のパフォーマンスで会場を大いに沸かせました。


見事に部活部門で優勝を勝ち取った15代目 TOP ROBBERS。それでもパフォーマス終了後のメンバーからは、ストイックな言葉が飛び出します。
「達成感もありますが、メンバーそれぞれ反省したい部分もありました。それは次の大会に活かしたいです」
また、ダンス部の活動を通して、自分が成長できたと語るメンバーも。
「チームで練習を進めていく中で、だんだんと厳しいことや本音も言えるようになり、一人ひとりのことがよく見えるようになりました。ダンスのスキルはもちろんですが、人間的に成長できたと感じています」
厳しい練習を休みたくなることもあるそうですが、それでも練習を続けるのはなぜですか?とたずねると「勝つためだから」とシンプルな答え。次のステージがあるかぎり、彼女たちの挑戦が止まることはありません。
日本一のチームを生んだ「厳しく楽しい練習」
ここからは、安中総合学園高校でダンス部顧問であり、上毛新聞社杯ダンスコンテストの立ち上げから参画した青木先生にお話を伺いました。部員と共に「日本一」という高い目標に挑み続け、さらには大会の開催を通じて次世代の挑戦を応援してきた、青木先生の思いを深掘りします。
ー 安中総合学園高校のダンス部が「日本一」を目指すようになったきっかけは何だったのでしょうか?
ダンス部員に自分たちのやっていることに誇りを持ってほしいという想いからです。最近でこそ中学でダンスが必修科目になったり、ダンスを習う子どもが増えてきたりとダンスの存在感が高まっていますが、以前はストリートダンスの社会的な地位はもっと低いものでした。ダンス部(当時は同好会)を創設した当時は、他のメジャーな部活動と同じように頑張っても、校内での評価を得にくくて。そんな状況では、誇りを持つのは難しいですよね。
だったら、日本一を取りに行こうと。成功体験を重ねて、実績を残せば他人の評価はさておき、自分自身に誇りを持つことはできるはずだと考えたんです。

ー 高い目標を達成するために、どのようにチームを導いていかれたのですか?
最初に取り組んだのは、挨拶の練習です。挨拶は人間力の根幹にあるものなので、校内で一番挨拶ができる部活になれば、それだけで認めてもらえるからと。大きな声で挨拶をすることは、ダンスにおいて重要な感情表現にもつながると思います。入部した時はシャイな生徒もいますが、挨拶の練習を繰り返すうちに、心が開いていくんです。
また、方針として掲げたのは「厳しく楽しい練習」。部員にとって、私は“鬼”のような存在だったと思います(笑)。特に合宿などは、朝早くから徹底的に踊り込みました。体力的にはハードだったと思いますが、勝つためのベースとなる強い気持ちをつくるためには、必要なことだったと思います。一方で、クリスマスやハロウィンなどのイベント事をちゃんと楽しむとか、メリハリをつけることは心掛けてきました。
ー 日本トップレベルの強豪校に上り詰めた今、部員を指導するうえで大事にしていることはなんですか?
今はなるべく「ティーチング」ではなく、「コーチング」をするようにしています。こちらが教える・導くというよりは、自分たちで話し合って一年間の方針を決めてもらい、決めたことは実行させる。日本一を目指すかどうかを決めるのも、部員たちです。
部活での成功体験が、夢を叶える力になる
ー「上毛新聞社杯ダンスコンテスト」では実行委員長も務められています。この大会はどのような経緯で始まったのでしょうか?
大会立ち上げに参画した一番の目的は、群馬でダンスを盛り上げ、もっと市民権を得ていくことでした。だから上毛新聞さんのような大きなメディアの力も重要ですし、審査員として国内外で活躍する有名ダンサーを呼び、本格的な舞台演出の中でパフォーマンスしてもらう。そうやって大会やストリートダンス自体の認知が上がれば、出場者は自分たちの活動にもっと誇りを持つことができ、進学の時にアピールできる実績にもなる。これは教育現場ではとても重要なことです。

ー昨年に引き続き、今年もオープンハウスアリーナ太田での開催でした。
オープンハウスアリーナ太田で踊ることは、出場者のモチベーションになっていると思います。Bリーグの試合も開催される立派な会場なので、高校生はもちろん緊張します。でもそれってなかなか得られない体験ですし、あんなステージで踊る機会が与えられる群馬の高校生は幸せだと思います。
こういう恵まれた環境で開催できるのは、オープンハウスさんをはじめとする企業や地元の方々の協力があるから。うちの部員たちにも「あそこで踊るにはたくさんのお金がかかっていて、みんなの頑張りを応援してくれる人がいるからこそ、大会が成り立っているんだ」ということをしっかり伝えるようにしています。だから挨拶もしっかりして、応援してもらえる人間になろう、いつもそう話しています。
ー「上毛新聞社杯ダンスコンテスト」のような大会に挑戦することは、出場者にとってどんな経験になると思いますか?
大会は、自分がずっと頑張ってきたことを、ダメだとジャッジされてしまうかもしれない場所。評価を受けるということには意味があるし、負けたとしても次にやるべき課題を見つけることができるのは大切なことだと思います。うちの部員は、最初から上手い子たちの集まりではないんです。ただ、汗と涙を流してきた量はどこにも負けないんじゃないでしょうか。
ー部活動を通して、生徒の成長を感じることはありますか?
過去にはダンス未経験で入部して、努力してレギュラーを勝ち取り、日本一になった子がいました。彼女は部活を通して努力の意義を知り、卒業後も「人の役に立ちたい」と必死に勉強したんです。勉強もあまりできる子ではなかったのですが、今は夢を叶えて国家公務員になりました。部活での成功体験で自信がつき、努力を継続できるようになったんだと思います。
ー最後に、何かに挑戦している次世代の若者に向けてエールをお願いします。
部活は、楽しいだけではなく大変なこともたくさんありますよね。人間関係がうまくいかなくて練習に来るのが嫌になるケースもありますし、勉強とも両立しないといけない。そんな中でも挑戦するのは素晴らしいことです。「若い時の苦労は買ってでもしろ」なんて言いますが、その経験は将来めちゃくちゃ財産になると思います。
また、私がいつも生徒たちに言っているのが「最高の仲間をつくれ」ということ。辛い時も仲間がいれば立ち向かえるし、頑張れる。時には大喧嘩してもいいから、同じ目標に向かう仲間を大切にしてください。

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