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つば九郎だからできる、「燕の恩返し」。おふざけも毒舌も、すべてはチームとファンのために

つば九郎だからできる、「燕の恩返し」。おふざけも毒舌も、すべてはチームとファンのために

2024年4月9日にデビュー30周年を迎えた、プロ野球球団「東京ヤクルトスワローズ」のマスコット・つば九郎。愛くるしい見た目とは裏腹に、これまでのマスコットのイメージを覆す、自由奔放な発言がたびたび注目を集めています。チームの1番のファンであり、最多「応燕」試合数を誇るレジェンドが、今もなお攻めの姿勢を貫き通す理由はなんなのでしょうか? 長年つば九郎を支えるアテンド担当者の証言も交え、その挑戦の裏にある、熱い思いを伺いました。

  • つば九郎

    「東京ヤクルトスワローズ」のマスコット。名前の由来は、ツバメの古称「つばくろ」と、「鍔迫り合い(つばぜりあい)に強く、苦労(九郎)しながら接戦をものにする」という意味。1994年4月9日の阪神戦でデビュー。2008年にプロ野球のマスコットとしては初の主催連続1000試合出場、2022年には2000試合出場を達成。好きな言葉は「よしっ飲みに行こう!!」

    「東京ヤクルトスワローズ」のマスコット。名前の由来は、ツバメの古称「つばくろ」と、「鍔迫り合い(つばぜりあい)に強く、苦労(九郎)しながら接戦をものにする」という意味。1994年4月9日の阪神戦でデビュー。2008年にプロ野球のマスコットとしては初の主催連続1000試合出場、2022年には2000試合出場を達成。好きな言葉は「よしっ飲みに行こう!!」

「楽しいから続けてこられた」。日本一や2000試合出場…幸せな瞬間を積み重ねた30年

―1994年にデビューしてから、今年で30周年を迎えられました。この30年で最も思い出に残っていることはなんですか?

つば九郎:ありすぎてえらべない。「30ねん」そのものがおもいで。うれしいこともあれば、かなしいこと、いえないこともたくさんあったし。

ありすぎて選べない。「30年」そのものが思い出。うれしいこともあれば、悲しいこと、言えないこともたくさんあったし。

【2022年7月 ヤクルト対広島】空中くるりんぱが成功するかに見えたが惜しくも外したつば九郎(サンケイスポーツ提供)

―特にうれしかった瞬間を教えてください。

つば九郎:やっぱりにっぽんいちになったしゅんかんにたちあえたときとか、おふにいべんとをやっているときとか、かったときにみんなのえがおをみたりすると、しあわせになる。あとは、くるしんでいるせんしゅがけっかをだしたとき。たとえば、このまえのてっぱちくんの1500あんだとか、むらかみくんの200ごうほーむらんとか。きねんぼーどをわたしにいって、いちばんさいしょにおいわいがいえるっていうのは、しあわせなこと。

やっぱり日本一になった瞬間に立ち会えた時とか、オフにイベントをやっている時とか、勝った時にみんなの笑顔を見たりすると、幸せになる。あとは、苦しんでいる選手が結果を出したとき。例えば、この前のてっぱちくん(山田哲人選手)の1500安打とか、むらかみくん(村上宗隆選手)の200号ホームランとか。記念ボードを渡しに行って、1番最初にお祝いが言えるっていうのは、幸せなこと。

―反対に、これまで悔しかった瞬間や辞めたくなった瞬間はありましたか?

つば九郎:2022ねんなつに、ころなになっちゃったとき。それまでしゅさいしあいのれんぞくしゅつじょうきろくをこうしんしていたのに、のうこうせっしょくのうたがいで2000しあいのきろくもくぜんでとぎれて、ちょっとくやしかった。

ちなみにそのあと、ようせいになったんだけど、かくりされていたふくおかのほてるにたかつかんとくがる〜び〜をおくってきて。かくりちゅうはのんじゃいけないから、ふくおかから30ぽんもってかえるのはたいへんだった。さいしょはいやがらせかともおもったけど、はげみになったかな。

2022年夏に、コロナになっちゃった時。それまで主催試合の連続出場記録を更新していたのに、濃厚接触の疑いで2000試合の記録目前で途切れて、ちょっと悔しかった。

ちなみにその後、陽性になったんだけど、隔離されていた福岡のホテルに高津(臣吾)監督がビールを送ってきて。隔離中は飲んじゃいけないから、福岡から30本持って帰るのは大変だった。最初は嫌がらせかとも思ったけど、励みになったかな。

―欠場もあったとは言え、30年間ほとんどの試合に出続けるのはすごいですよね。

つば九郎:まいにちやくるとをのんでいるから。あと、ぱとろーるのおかげ。

毎日ヤクルトを飲んでいるから。あと、パトロール(※飲み歩き)のおかげ。

つば九郎のアテンド担当者(以下、アテンド担当者):長い間、つば九郎の隣でアシスタントをしていますが、神宮に行けば必ずいるというのは、やっぱりすごいことだと思います。試合以外のイベントなどで忙しくしていても、試合の日は絶対に球場にいますから。

―いろんなことがありながらも、30年間一つのことを続けられるモチベーションは?

つば九郎:たのしいから。10しゅうねん、20しゅうねん、2000しあいしゅつじょう、いろんなふしめでいろんなかたにおいわいしてもらって、30しゅうねんのいままでつづけてこられた。

楽しいから。10周年、20周年、2000試合出場、いろんな節目でいろんな方にお祝いしてもらって、30周年の今まで続けてこられた。

【2008年ヤクルト対横浜】ヤクルト主催試合1000試合連続出場を達成し花束をもらうつば九郎(サンケイスポーツ提供)

プロ野球のオフシーズンは自分にとってシーズンイン。球場外で話題を作り続ける

―つば九郎さんと言えば、試合中の恒例のパフォーマンス「空中くるりんぱ」やスケッチブックに書く歯に衣を着せぬコメントなど、これまでの球団マスコットの概念にとらわれない行動が印象的です。始めたきっかけはありますか?

つば九郎:「くうちゅうくるりんぱ」は、おふざけではじめた。それがいまじゃ5かいがおわったときのこーなーになっちゃった。いっかいもせいこうしたことがないから、「やめちまえ」っていわれることもあるけど、さんぴりょうろんないとかえってやりづらい。あんちもうぇるかむ。

すけっちぶっくは、ほかのきゅうだんのますこっとがやってないことをやりたいとおもったから。ほかのますこっとみたいにとんだり、はねたりできないから、ぺんぐらいはしらせようかなって。いまはしあいまえに「きょうのひとこと」なんてこーなーもある。ひとことどころじゃなくて、すけっちぶっくいっさつつかって。しーずんは4がつから9がつまで、ほぼまいにちのようにしあいがあるから、ねたさがしがたいへん。さいきんはわいどしょーもおとなしいから。

「空中くるりんぱ」は、おふざけで始めた。それが今じゃ5回が終わった時のコーナーになっちゃった。一回も成功したことがないから、「やめちまえ」って言われることもあるけど、賛否両論ないとかえってやりづらい。アンチもウェルカム。

スケッチブックは、他の球団のマスコットがやってないことをやりたいと思ったから。他の球団のマスコットみたいに跳んだり、はねたりできないから、ペンぐらい走らせようかなって。今は試合前に「今日のひとこと」なんてコーナーもある。一言どころじゃなくて、スケッチブック1冊使って。シーズンは4月から9月まで、ほぼ毎日のように試合があるから、ネタ探しが大変。最近はワイドショーも大人しいから。

―いつも絶妙なコメントで球場を沸かせていますが、内容はパッと思い浮かぶものなのでしょうか?

つば九郎:まいにちすぽーつしんぶんをよんで、じじねたをしこんでいる。くすっとわらえるごしっぷは、だいこうぶつ。でも、いろんなひとをきずつけるようなわだいはだめ。あとは、しあいまえにかるくこすって、あぶないとおもったわだいも、にどとかかない。ぎゃくに、「これいけるな」とおもったら、「よし、こんどてれびにでるときはこっちにしよう」とか。

毎日スポーツ新聞を読んで、時事ネタを仕込んでいる。クスッと笑えるゴシップは、大好物。でも、いろんな人を傷つけるような話題はダメ。あとは、試合前に軽くこすって、危ないと思った話題も、2度と書かない。逆に、「これいけるな」と思ったら、「よし、今度テレビに出る時はこっちにしよう」とか。

―裏での努力があってこそ、たくさんの人に愛される、現在のつば九郎さんのポジションがあるのですね。

つば九郎:いまはきゃらくたーがていちゃくして、あるていどなにをやってもゆるしてもらえるっていうのも、ひとつのもちべーしょんになっているかも。たまにおとなにほんきでおこられるけど。あとは、ふぁんのまなーのよさにもたすけられている。とーくしょーとかのいべんとで「SNSとうこうやしゃしんさつえいはきんしね」っていうとほんとうにまもってくれるから。

今はキャラクターが定着して、ある程度何をやっても許してもらえるっていうのも、一つのモチベーションになっているかも。たまに大人に本気で怒られるけど。あとは、ファンのマナーの良さにも助けられている。トークショーとかのイベントで「SNS投稿や写真撮影は禁止ね」って言うと本当に守ってくれるから。

―全国各地でのトークショーなど、球場外の活動も精力的に行っていますよね。5月に実施した「新幹線貸切燕征」企画は、定員145人のところ1500人以上の応募があったそうですが、話題づくりで意識していることはありますか?

つば九郎:ぷろやきゅうのしーずんおふが、ぼくにとってのしーずんいん。ちーむをしってもらうためには、じんぐうにきてもらうためには、どうしたらいいかなっていつもかんがえている。おふにはいっても、ふぁんのみんなにちーむのことややきゅうのことをわすれられないように、いろんなわだいをふりまいているつもり。

ゆうがたのにゅーすで「つばくろうがけいやくこうかいしました」とか「ねんぽう6まんえんぷらすやくると1000のみほうだいでさいんしました」ってながれると、「かった」っておもうし、くらいにゅーすもおおいなか、すこしはあかるいわだいがていきょうできて「よかった」ともおもう。

プロ野球のシーズンオフが、ぼくにとってのシーズンイン。チームを知ってもらうためには、神宮に来てもらうためには、どうしたらいいかなっていつも考えている。オフに入っても、ファンのみんなにチームのことや野球のことを忘れられないように、いろんな話題を振りまいているつもり。

夕方のニュースで「つば九郎が契約更改しました」とか「年俸6万円プラスヤクルト1000飲み放題でサインしました」って流れると、「勝った」って思うし、暗いニュースも多い中、少しは明るい話題が提供できて「よかった」とも思う。

アテンド担当者:実現力がすごいんですよ。「新幹線貸切燕征」もそうですし、2010年から、「つばさんぽ」っていう都内各地を回るイベントをやっていて。最初は握手会とか写真撮影会ぐらいだったのが、いつの間にかステージに立って、スケッチブックを使ってトークショーをしていました。どんどん自分でアイディアを出して、「実現するためにどうするか」って考えて、相手がクライアントだろうが誰であろうと遠慮なく意見を言っています(笑)。来た仕事は基本的になんでもやるし。

つば九郎:それもまわりにめぐまれているからできること。いろんなひとがささえてくれるから。

それも周りに恵まれているからできること。いろんな人が支えてくれるから。

「選手とファンのかけはし」に。チームの現役最年長として、若手にファンサービスを教えることも

―つば九郎さんが「応援」で大切にしていることはなんですか?

つば九郎:「せんしゅとふぁんのかけはし」になること。ふぁんがおうえんしやすいかんきょうをつくるのと、せんしゅに「おうえんしてもらっているよ」としらせるやくわり。たとえば、しあいにかったときは、ひーろーになったせんしゅをらいとすたんどにひっぱっていってなにかやるとか、てをふらせるとか。いまじゃぼくがちーむのげんえきさいねんちょうだから、わかいせんしゅにおしえることもある。むらかみくんあたりは、どんどんうまくなっちゃって、ぼくがいなくてもいいくらいにせいちょうしたけど。

「選手とファンの架け橋」になること。ファンが応援しやすい環境をつくるのと、選手に「応援してもらっているよ」と知らせる役割。例えば、試合に勝った時は、ヒーローになった選手をライトスタンドに引っ張っていって何かやるとか、手を振らせるとか。今じゃ僕がチームの現役最年長だから、若い選手に教えることもある。村上くん辺りは、どんどん上手くなっちゃって、僕がいなくてもいいくらいに成長したけど。

つば九郎すけっちぶっくに「応援」で大切にしていることを書くつば九郎
大切にしていることを宣言するつば九郎

―ファンの方の応援を大切にしているんですね。

つば九郎:おきゃくさんは、おかねをはらってきゅうじょうにきているから。じんぐうにきたら、じゅうじつしたきもちでかえってもらいたい。だから、せんしゅには、ひーろーいんたびゅーでうまくしゃべれなかったらだめだししたり、「ちゃんとさいごはおとせよ」とかあどばいすしたりもする。ちょくせつおきゃくさんひとりひとりに「ありがとう」はいえないけど、さいごにせんしゅのこえをきいて、すこしでもたのしんでほしい。こういうことじゃないと、おんがえしできないから。

お客さんは、お金を払って球場に来ているから。神宮に来たら、充実した気持ちで帰ってもらいたい。だから、選手には、ヒーローインタビューでうまく喋れなかったらダメ出ししたり、「ちゃんと最後は落とせよ」とかアドバイスしたりもする。直接お客さん一人ひとりに「ありがとう」は言えないけど、最後に選手の声を聞いて、少しでも楽しんでほしい。こういうことじゃないと、恩返しできないから。

―応援を続ける上で、今後の目標はありますか?

つば九郎:つねにじんぐうのすたんどがいっぱいで、どこのちーむとのしあいであっても、やくるとのふぁんがおおいじょうきょうにしたい。いまはほーむでもほかのちーむのふぁんのほうがおおいひもあるから。あうぇーでも、やくるとをおうえんしてくれているかたにかたみのせまいおもいをさせないように、もっともっとふぁんをふやしたい。

常に神宮のスタンドがいっぱいで、どこのチームとの試合であっても、ヤクルトのファンが多い状況にしたい。今はホームでも他のチームのファンの方が多い日もあるから。アウェーでも、ヤクルトを応援してくれている方に肩身の狭い思いをさせないように、もっともっとファンを増やしたい。

―ヤクルトファンでも、新たな挑戦をしようと考えている方、何かに挑戦しているけど壁にぶつかっているという方もいらっしゃると思います。そんな方へ、応援コメントをいただけますか?

つば九郎:かべにぶつかっている? もっとぶつかってください。どんどんぶつかってください。すぐかべはでてくるもの。かわしてもいいとおもう。じんせいは、かべばっかりだから。

壁にぶつかっている? もっとぶつかってください。どんどんぶつかってください。すぐ壁は出てくるもの。かわしてもいいと思う。人生は、壁ばっかりだから。

―つば九郎さんらしい愛のある応援メッセージをありがとうございます。最後にチームスローガンとして「ヤり返せ!」を掲げる2024年シーズンのスワローズのこれからの見どころと意気込みを教えてください。

つば九郎:しーずんはじめにすたーとだっしゅできなかったぶん、ここからうえをめざしてやりかえします! れんしょうします! たぶんそろそろ「むらびとさま」が「むらかみさま」にへんしんするとおもうので。やっぱりかれがうたないともりあがらない。かれならやってくれるでしょう〜。おうえんおねがいします!

シーズン初めにスタートダッシュできなかった分(2024年5月末取材時点で、JERAセ・リーグ6位)、ここから上を目指してヤり返します! 連勝します! 多分そろそろ「村人様」が「村神様(※村上選手の愛称)」に変身すると思うので。やっぱり彼が打たないと盛り上がらない。彼ならやってくれるでしょう〜。応援お願いします!

誰かの「かなえたい」を応援したい。

がんばる皆さんの想いに寄り添うサポート活動、
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