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”パラ・デフアスリート社員”という肩書が挑戦を後押しする 走り高跳び・髙居千紘 選手×スノーボード・小須田潤太 選手

”パラ・デフアスリート社員”という肩書が挑戦を後押しする 走り高跳び・髙居千紘 選手×スノーボード・小須田潤太 選手

「挑戦する人を応援する」を掲げるオープンハウスグループは、目標に向かって日々努力するアスリートを社員として雇用し、その活動をサポートしています。パラスノーボード選手で、2025年の世界選手権で金メダルを獲得した小須田潤太選手もその一人です。

今回は、企業所属パラアスリートやデフアスリートの実情を知るべく、コカ・コーラ ボトラーズジャパンに所属し、デフ(聴覚障がい)走高跳選手として活躍する髙居千紘選手をお招きし、小須田選手との対談を実施。パラスポーツやデフスポーツを取り巻く環境や、競技と仕事のバランス、これからの目標などについて伺いました。デフリンピックとパラリンピックをそれぞれ間近に控えた両選手の挑戦を支えているのはどんな存在なのでしょうか?

(2025年3月に取材)

  • 髙居千紘

    コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社所属デフアスリート
    1997年、滋賀県生まれ。先天性感音性難聴。2020年コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社入社。業務と両立しながら陸上競技の走り高跳びと十種競技のデフ(聴覚障がい)アスリートとして活動。2025年東京デフリンピックへの出場、メダル獲得を目指している。

    コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社所属デフアスリート
    1997年、滋賀県生まれ。先天性感音性難聴。2020年コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社入社。業務と両立しながら陸上競技の走り高跳びと十種競技のデフ(聴覚障がい)アスリートとして活動。2025年東京デフリンピックへの出場、メダル獲得を目指している。

  • 小須田潤太

    1990年、埼玉県生まれ。2016年オープンハウスグループ入社。2012年(21歳時)に交通事故で右大腿部を切断。2015年にパラ陸上を始め、2017年からパラスノーボードにも挑戦。東京2020パラリンピック・北京2022冬季パラリンピック出場。現在、ミラノ・コルティナ2026冬季パラリンピックでの金メダル獲得に向け、日々トレーニングに励んでいる。

    1990年、埼玉県生まれ。2016年オープンハウスグループ入社。2012年(21歳時)に交通事故で右大腿部を切断。2015年にパラ陸上を始め、2017年からパラスノーボードにも挑戦。東京2020パラリンピック・北京2022冬季パラリンピック出場。現在、ミラノ・コルティナ2026冬季パラリンピックでの金メダル獲得に向け、日々トレーニングに励んでいる。

競技を絞るのは、より高い競技レベルを目指すから

― アスリートとしての現在の活動について聞かせてください。まず髙居選手は、どんな競技で活躍されていますか?

髙居:デフ(聴覚障がい)陸上競技で、走り高跳びの種目に従事しています。以前は十種競技にも出場していたのですが、現在は高跳びに専念しています。

― 高跳びに専念することを決めたのはなぜですか?

髙居:走る種目、特に1,500m走がきつかったからです(笑)。というのは冗談で、上の成績を目指すなら得意な種目に専念するほうが良いと考えたからです。

小須田:中距離はめちゃくちゃきついですもんね(笑) 得意な種目に絞るというのも共感します。僕もスノーボード以外に100m走と走り幅跳びをやっていましたが、スノーボードに専念するようになってから成績が上がりました。複数の競技でハイレベルを目指すのも素晴らしいことだけれど、競技者である以上、勝ちたいという気持ちがやっぱり強いですよね。

― デフ走り高跳びは、デフならではの特別なルールはありますか?

髙居:特にありません。走る種目はスタートの合図がピストルの代わりにランプになるなど、ちょっとした違いがありますが、走り高跳びは基本的に同じですね。おもしろいのが、選手が観客に手拍子を要求する文化がデフにもあることです。選手が頭上に手を挙げて、大きく拍手するアレです。デフの選手も同じことをするんです。手拍子の音は聞こえないのに(笑) 聞こえないけれど、盛り上がってくれていることを想像しながら気持ちを高めます。

小須田:それはおもしろいですね(笑)スノーボードもトリック系の種目なら観客との掛け合いがあるかもですが、僕が出てる種目ではそういうのはないですね。

― 小須田選手は現在はどんな競技活動をされていますか?

小須田:スノーボードクロス(通称「クロス」)、バンクドスラロームという2種目に出場しています。どちらもスピードを競う点は同じですが、クロスは4名が同時に滑って順位を競うレース方式なのに対し、バンクドスラロームは一人ずつ滑ってタイムを比べるタイムトライアル方式です。もともとはクロスの方が得意なつもりでW杯での優勝経験もあったんですが、先日世界選手権ではバンクドスラロームで初優勝できました。

髙居:初優勝おめでとうございます。両種目で一番になった経験があるのはすごいですね。

小須田:ありがとうございます。ライバルも強く、安定して勝てるという段階には到底ないので、まだまだここからだと考えています。

企業人として働くなかで得た価値観は、アスリートとしての在り方にも影響している

― お二人とも一般企業に勤める社員でもあります。業務と競技活動をどんな比率で行っていらっしゃいますか?

髙居:僕は午前中に業務を行って、午後に練習するというバランスです。練習場所は都内の公共施設や大学をお借りしています。海外遠征に出ている期間は競技に集中させてもらっています。

小須田:僕は今、ほぼ競技のみに集中させてもらっています。最初からそうだったわけではもちろんなくて、入社当初はフルタイムで働いて、退勤後や土日に練習するというスタイルでした。競技を続けてレベルが上っていくなかで、僕から交渉したり、会社側から提案してもらったりしながら、競技に費やす時間が徐々に増えてきたという経緯です。
スノーボードも試合はほぼ海外ですし、練習するにしても夏は雪を求めて南半球に行く必要があります。普通に働きながらだと、トップレベルで戦うのはほとんど不可能に近いと思いますね。

― 業務はどんなことを担当されてきましたか?

髙居:入社して3年間はシステム部門で働いていました。今は人事の領域で前部署で学んだITスキルを活かして業務の自動化などに取り組んでいます。

小須田:僕はいろいろですね。マーケティング部で広告運用の解析をしたり、顧客対応部門でクレーム処理をしたり。不動産会社ならではの点で言うと、宅建資格も取りました。話すのが好きなのでよく営業っぽいと言われるんですが、前職のときにごく短期間やっただけで、オープンハウスでは営業をしてないんです。

― 仕事の経験が競技に役立つことはありますか?

小須田:直接的に役に立つことは正直あまりないんですが、努力が成果につながる経験をできたのは大きなと感じます。僕、人生のなかでそういう経験をほとんどしたことなくて。例えば高校や大学の入試も、名前を書けば受かるような感じだったので、受験勉強というものをしなかったんです。だから宅建資格を取ったときは、努力が形になるってこういう感じかと感慨深かったですね。アスリートの練習と大会成績の関係も似たような部分はあるので、宅建取ってよかったなと思います。

髙居:僕も直接的に役立った話ではないですが、新しいことに挑戦することへの抵抗感は薄れたなと感じます。入社前は、プログラミングは全くの未経験だったので、自分にやれるのかなという気持ちもありました。でもやっているうちにできることが増えていって、できるようになるとスキルを活かしたいという欲が出てきて。未知のことに挑戦することに前向きになれたのは、競技にとっても良いことだと思っています。

― 企業所属という道がなかったら、アスリートを続けられていたと思いますか?

髙居:学生時代に一番打ち込んだことなので、続けられる道をなんとか探したと思います。ただ実は、他にどんな道があるか、それぞれの道にどんな苦労があるかで深く悩んだことはないんです。
というのも、僕が大学4年生のときに、通っていた日本体育大学とコカ・コーラ ボトラーズジャパンが「障がい者支援に関する包括協定書」を締結したんです。その少し前のタイミングでアスリート社員として所属しないかという誘いをいただいて。願ってもないことだったので、悩むことなくぜひお願いしますと返事をしました。もしあの協定がなかったら、どんな進路を選んでいたんでしょうね。

小須田:僕の場合は、大人になってからの事故で足を失って、そこから競技をはじめたので、学生アスリートだった髙居選手とは事情がかなり異なります。トップレベルの実績なんてもちろんなかったので、競技優先で採用してくれるとは思ってもいませんでした。
そうした中で、少しでも理解がありそうな会社、ただ気持ちがあるだけじゃなく、実際に障がい者やアスリートを雇用している実績のある会社に入りたいと思っているときにオープンハウスと出会いました。アスリート社員になれなかったとしても競技は続けていたとは思いますが、今のレベルで戦えているかは分かりません。

「楽しさ」を伝えたいからこそ、結果を出す必要がある

― 今後の目標について聞かせください。まずは競技者として、今何を目指していますか?

髙居:今年、東京で開催されるデフリンピックでメダルを取ることです。まずは、5月の選考会で良い記録を出して、出場権を得ることが当面の課題です。

昨年の世界選手権では4位でした。実力を出し切れればメダルにも十分手が届くと思っています。せっかくの東京開催なので、多くの人にデフ競技の存在を知ってもらうためにも、ぜひメダルを獲得したいと思っています。

小須田:僕は2026年3月に開催されるミラノパラリンピックで、2種目の金メダルを取ることを目指しています。毎年開催のW杯や1年おきに開催される世界選手権では優勝を経験しましたが、パラリンピックではまだメダルを穫れていません。やっぱり4年に1度の大舞台で勝ちたいという気持ちが強いですね。クロスもバンクドスラロームも、それぞれ最強と呼ばれる選手がいて、フラットに評価するとまだ実力差があると言われるでしょう。それでも、流れ次第で勝てることは、過去の金メダルが証明しています。

オープンハウスグループは不動産業界で1番になると言っていますが、その会社に所属している以上、自分も一番を目指すのは当たり前だと思っています。今はまだ1年あるので、実力差を埋めて勝てる確率を上げていきたいです。

― 最後に、人生における目標を聞かせてください。

髙居:競技者としての目標の延長線上にある話ですが、デフスポーツを盛り上げることです。そのために今考えていることは、競技者として良い成績を残すこと、現役として長く活躍して顔を覚えてもらうことです。競技を退いた後にもできることがあるとは思いますが、今はまだ競技者として活躍することだけを考えたいと思っている段階です。

小須田:スポーツの楽しさを伝えたいですね。スノボードに限らず。そして楽しさを伝えるには、楽しくないこともしないといけないと思っています。ただ楽しんでいるだけの人の言う「楽しい」ってあまり説得力がなくて、結果を出すまで打ち込んだ人が「楽しい」と言ってはじめて人に響く言葉になると思うんです。だから、結果にシビアに向き合うような人生を送りたいですね。

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