優れたメタバース作品を表彰する「Metaverse Creative Award(MCA)」は、オープンハウスグループの戦略子会社である株式会社モンドリアンが主催しています。オープンハウスグループでは、コンテストへの協賛、クリエイター支援、学習イベントの企画など、一貫してメタバース業界を応援し続けてきました。
メタバースという未開拓の領域に挑む人々を後押しすることは、「挑戦する人を応援する」という「O-EN HOUSE PROJECT」の理念とも重なります。
本記事では、MCAで最優秀賞を受賞した山吹いろさんとICE_Nさんという、二人のクリエイターによる対談をお届けします。メタバースとの出会いからクリエイターとしての歩み、そして挑戦を通じて得た学びまで、二人のリアルな言葉を通して、次世代クリエイターたちの軌跡に迫ります。
(2024年7月に取材)
株式会社モンドリアン代表取締役社長、角田拓志さんの記事はこちら
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山吹いろ
オンラインゲーム「Fortnite」にて、プロマップクリエイターとして活動。サービス開始当初からFortniteをプレイし、クリエイティブモード追加以降はマップ制作を開始。ワールド、ゲームを制作。日本最大級のメタバースアワード「MCA2023夏」のFortnite部門で最優秀賞を受賞。
オンラインゲーム「Fortnite」にて、プロマップクリエイターとして活動。サービス開始当初からFortniteをプレイし、クリエイティブモード追加以降はマップ制作を開始。ワールド、ゲームを制作。日本最大級のメタバースアワード「MCA2023夏」のFortnite部門で最優秀賞を受賞。
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ICE_N
2023年より、「Fortnite」のプロマップクリエイターとして活動を開始。現在までに60を超えるオリジナルマップを制作し、洗練されたビジュアル設計と高いゲーム性を両立させたクリエイティブで支持を集めている。2025年5月に開催された日本最大級のメタバースアワード「EXPO MCA」のFortnite部門で最優秀賞を受賞。
2023年より、「Fortnite」のプロマップクリエイターとして活動を開始。現在までに60を超えるオリジナルマップを制作し、洗練されたビジュアル設計と高いゲーム性を両立させたクリエイティブで支持を集めている。2025年5月に開催された日本最大級のメタバースアワード「EXPO MCA」のFortnite部門で最優秀賞を受賞。
作って、遊ばれて、つながっていく。メタバースクリエイターという仕事
―はじめに、お二人の活動内容について教えてください。
ICE_N:「Fortnite(フォートナイト)」上で動くゲームや体験を制作・公開できるPCツール「Unreal Editor for Fortnite(UEFN)」を使って、マップ(ミニゲーム)制作を行っています。現在までに60以上のマップを公開しており、最終的には100マップの制作を目標としています。
山吹:私もICE_Nさんと同じく、UEFNを活用してマップを制作しています。私の場合は、新しいマップをたくさん作るというより、これまで自分が作ってきたマップを継続的にアップデートしながら運営するスタイルが中心です。あわせて、YouTubeでマップ制作方法の動画の配信もしています。昨年2024年からは、Fortniteでのご縁をきっかけに、ゲーム会社に勤務するようにもなりました。
―お二人がメタバースと出会ったきっかけは何でしたか?
ICE_N:きっかけは、子どもと一緒に簡単なゲームを作ってみたことでした。もともとシステムエンジニアとして働いていて、ゲーム業界とは無縁でしたが、実際に作ってみたらすごく楽しくて。「この世界にはどんな表現があるんだろう」と興味が湧いて探求していき、たどり着いたのがFortniteだったんです。
山吹:私はもともとYouTubeでゲーム実況をしていて、2017年にFortniteがリリースされたころに「これも配信してみよう」と始めてみたんです。当時はプレイヤーとして遊ぶバトルロイヤルモードしかありませんでしたが、その後の2018年にマップを自分で制作できるクリエイティブモードが登場し、配信しながらマップを作り視聴者さんと一緒にプレイするという企画を始めました。それを続けていくうちに、マップ制作で収益を得られる仕組みがFortniteに導入されて。そのような変化に「もっとちゃんと遊んでもらえるマップを作ってみよう」と自分の意識も変わっていき、今に至ります。
ICE_N:クリエイティブモード登場当初、クリエイターはどのくらいいたんですか?
山吹:日本のクリエイターは10名ほどしかいませんでした。私も含め、趣味の延長で制作している人がほとんどで、「人に遊んでもらう」という意識を持って取り組んでいる人はほぼいなかったように思います。

―メタバースと聞くと難しい印象もありますが、どのようにしてマップを作れるようになったのですか?
山吹:私の場合は、まさに遊びながら覚えていったという感じです。配信しながらマップを作り視聴者さんと一緒にプレイしていたので、、「このルールだとうまくいかないな」とか「ここはもっと整えた方がいいな」という気付きが毎回あって。試行錯誤していくうちに、自然と技術が身に付いていきました。
ICE_N:あらかじめ用意されている3Dモデルやテクスチャなどのアセット(素材)を配置するだけでも、マップ制作はできます。最初はシンプルな構成から始めて、そこから徐々に自分のこだわりを反映させていく、という人が多いと思いますね。
―クリエイターとして、お二人がやりがいを感じる瞬間はどういう時でしょうか?
ICE_N:やりがいを感じるのは、やはりマップのプレイ数が伸びた時です。マップを公開した直後に多くの人が遊びに来てくれると、「待っていてくれたんだな」と感じて、とても嬉しくなります。また、「このマップでゲーム配信をしてもいいですか?」と声をかけてくださった方の配信を見に行くと、プレイヤーのリアルな反応や楽しみ方が伝わってきて、「作ってよかった」と実感できますね。
山吹:自分が作ったマップの攻略法や裏技のようなものを見つけてもらえるのも、とても嬉しいですね。それだけやり込んでくれているということですし、SNSなどで共有されて、「自分も練習してみよう」と反応が広がっていくのを見ると、一つのコミュニティが生まれていることを実感できます。そういう瞬間に、「いいものを作れたな」と感じます。
「最初は誰にも遊んでもらえなかった」からの逆転。MCA最優秀賞への道とその先の未来
―山吹さんは2023年に、ICE_Nさんは2025年に、日本最大級のメタバースアワード「MCAMetaverse Creative Awards(MCA)」にて、Fortnite部門の最優秀賞を受賞されました。応募のきっかけや、当時の思いについてお聞かせください。
山吹:「こんなゲームを作ってみたい」と構想していたマップがあり、制作のモチベーションを高めるために、MCAへの応募を決めました。「SUMMER MONEY CARNIVAL GUN GAME」という、コイン集めとガンゲームをミックスしたマップで、自分にとってチャレンジングな要素が多かったんです。アワードに応募するという目標があったからこそ、完成させることができたと思います。

ICE_N:2023年にマップ制作を始めましたが、最初のうちは週に1人か2人がアクセスしてくれる程度で、ほとんど遊んでもらえていませんでした。どうしたら自分のマップを知ってもらえるか考えていた時にMCAを知り、応募すれば審査員の方には必ず遊んでもらえると思い、チャレンジしてみることにしたんです。結果として、2023年は受賞できませんでしたが、その後も同じ思いで応募を続けました。一時は「審査員との感覚がずれている」と感じ、応募をやめようと思ったこともありましたが、初心を思い出し再挑戦。2025年には3作品応募し、そのうちの1作品「TMNT WASHING」が最優秀賞を受賞しました。


―MCAの応募前後で、ご自身の中で心境の変化や、活動に対する向き合い方に変化があれば教えてください。
ICE_N:悩みながら制作していた時期もありましたが、2025年に最優秀賞をいただけたことで、このマップ作りの方向性で良かったんだという答え合わせになり、自分の今後の活動に自信が持てたと感じています。また、大阪・関西万博会場内でリアル授賞式が行われたことは、クリエイターとして活動を続けていく上でも、人生においても、非常に大きな経験になったと思います。
山吹:メタバース関連の授賞式がオフラインで行われるのは本当に珍しいことですよね。これまでの授賞式は、オンラインで行われる、Fortniteやメタバースに詳しい人たちだけが注目するものでした。それが、万博会場でリアルに開催されることによって、メタバースに興味がない人にも「こういう賞があるんだ」と知ってもらう機会になり、メタバース業界にとっても大きな意義があったと感じています。
―山吹さんご自身は、MCAの応募前後で、何か心境の変化はありましたか?
山吹:以前は、幅広い層に受け入れられる作品を作ることに価値を感じていましたが、MCAへの応募を機に、尖った表現やニッチな作品にも挑戦してみようと思えるようになったことは大きな変化でした。また、心境の変化ではないのですが、受賞したことで、テレビ出演などの仕事につながったこともありました。自分の存在や作品を広く知ってもらえるという点でも、本当に影響力のある賞だと思っています。
―MCAは、次世代クリエイターの育成を目的としており、2025年からは「MCA for KIDS」という新たな挑戦もスタートしました。この挑戦に対する、率直なご感想をお聞かせください。
山吹:アワードが子どもたちの目標になるのは、とてもいいことだと思います。YouTubeで配信していると、「自分の作品を見てください」と島コードをコメントしてくれる子がいるんです。実際に見にいってみると、自由に楽しみながら、面白いものを作っているんですよね。MCAという明確な目標があることで、さらにメタバースの面白さに目覚める子も増えていくのではないかと感じています。
ICE_N:私自身は、子どもの頃は無気力で、自分から何かに取り組むことがほとんどありませんでした。もしMCAのようなアワードがあっても、きっと気付かなかったと思います。だからこそ、「MCA for KIDS」の情報にたどり着いて応募する子たちは、それだけでもすごいと思います。そういう意欲のある子たちが、メタバースの未来を担うクリエイターになっていくのではないでしょうか。

MCAという目標が、メタバースクリエイターを動かす原動力に
―MCAを推進する株式会社モンドリアンは、2023年1月に設立されたばかりの新しい会社です。モンドリアンの存在は、メタバースシーンにどんな影響を与えたと感じますか?
山吹:MCAを開催していただいたおかげで、「この賞を目指してマップを作ろう」というモチベーションを多くのクリエイターが持ちやすくなったと思います。意志が弱かったり、モチベーションの維持が難しかったりする人にとっても、挑戦するきっかけになっていて、それが結果的にメタバース全体の規模拡大にもつながっているのではないかと感じます。そうした目標として存在してくれていることが、とてもありがたいです。
―モンドリアンが、オープンハウスグループという、メタバースと関係の薄そうな企業の戦略子会社であることに、どんな印象を持ちますか?
ICE_N:メタバースは、これからますます日常に浸透していくものであり、業種を問わず、さまざまな企業に関わってくるものだと思っています。将来的には、「この子会社を持っていて良かった」と、オープンハウスグループさん自身が実感するようなタイミングがきっと訪れるはずです。
―お二人の今後のビジョンや、目標にしていることがあればお聞かせください。
ICE_N:私はマップ制作を始めた時に「100マップ作る」という目標を掲げましたが、これはあくまで分かりやすい数値目標であって手段にすぎず、最終的な目的はクリエイターとして世界の上位に食い込むことです。具体的には、世界で20位以内に入ることを目指しています。
山吹:Fortniteは、子どもたちの遊び場としての役割が強く出ていると感じます。ファッションや音楽、映画など、現実の楽しみをうまくメタバースに取り入れられれば、もっとリアルな体験が可能になると思います。私が作っているマップも、放課後に「ここで遊ぼう」と子どもたちに思ってもらえるような場所になるよう育てていきたいですね。

―今回の対談を通して、何かに「挑戦」したいと思っている方に、どのようなメッセージを伝えたいですか?
ICE_N:何事もやりたいと思ったことは、迷わず挑戦すべきだと思います。私は小さいころからボクシングや格闘技をやりたいと思っていましたが、運動が苦手で自分には無理だと思っていました。でも、20歳になってもその気持ちが消えず焦燥感を抱いていたんです。そこで「やらなかったら一生後悔する」と思い、キックボクシングジムに通い始めました。その結果、焦燥感は消え、あの時に挑戦して良かったと感じています。ですので、何事においても、自分に合うかどうかは後から判断すればいいので、まずは行動することが大切だと思います。
山吹:おっしゃる通りですね。理想や目標があるなら、行動し続けることが大切だと思います。また、何かに挑戦して少しでも成果を得た時は、それを発信することも重要です。私自信、制作したマップをYouTubeやSNSで発信したことが、仕事につながっていきました。発信することで自分の現在地が分かり、応援してくれる人もきっと増えていくはずです。

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